さて、まず最初のお楽しみはエンジンを何ccにするかです。G13B
エンジンは1298ccですから、1500ccやできれば1600cc
にしてみたいところです。が、1500ccを超えると税金の区分が変
わってくるので、ちょっと躊躇しますね。
そんな心配よりもっと大事な心配事があります。圧縮比です。私の構想
ではエンジンヘッドはそのまま流用するつもりなので、排気量が上がる
と圧縮比も当然上がります。そこでまず1500ccと1600ccの
二つの排気量にしたときの圧縮比を計算してみました。
まず最初に今のヘッドの燃焼室容積を計算します。
私のG13Bエンジンの圧縮比は10:1です。そして1気筒あたりの
排気量は約324.7ccですから1気筒あたりの燃焼室容積は、約
36ccになります。この数字を良く覚えておいて、シリンダー容量を
1500ccや1600cc相当にしてみます。
まず1500ccにした場合の圧縮比は、
1500+36*4:36*4=圧縮比 ですから、約11.42です。
1600ccにした場合は、なんと
1600+36*4:36*4=圧縮比 で、約12.1になります。
圧縮比11.42はハイオクガソリンで対応できそうですが、12.1
ともなるとどうなんでしょう・・・??
AA34カルタスのG13Bエンジンの圧縮比は11.5で、私の知る
限り国産の自動車エンジンではトップレベルの圧縮比だと思います。
よって12.1という値はちょっと厳しいかな?ということで、今回は
圧縮比が11.42となる、1500cc仕様にしてみよう!というこ
とになりました。
(2)ストロークアップでの1500cc化検討
さて、排気量が決まったところで、今度はその排気量をボアアップで実
現するか?それともストロークアップか?の検討です。
幸い、カルタスにはG15Aという1500ccエンジンがありますの
で、このエンジンの腰下が使えないかを思いつきました。
G15AエンジンのボアXストロークは75X84.5です。ストロー
ク&コンロッド長が伸びている分、エンジン高が3cm弱高くなります。
ボアピッチはG13Bと同じ84mmなので、G13BのDOHCヘッ
ドがそのまま載せられそうな雰囲気。これは期待が持てそうです。
また、サービスマニュアルなどでG15Aエンジンブロックのウォーター
ジャケット形状やオイル通路などを調べた結果、G13Bとの相違は見
当たらなかったので、益々期待が持てそうです。
更に、G15AブロックにG13BのDOHCヘッドを載せるとなると、
エンジン高が長くなった分、タイミングベルトが伸びますが、ベルトメー
カーさんに問い合わせたところ歯数の多いベルトも用意してあるとのこ
と。これは益々期待が持てそうです!!!
早速いつもお世話になっている大八商会さんに問い合わせたところ、在
庫でG15Aエンジンを所有しているとのこと。まずは下見だぁ!とば
かりに、エンジンを見に行きました。
が!!! なんと、G15Aエンジンブロックは、私のG13Bエンジ
ンとマウントの取りつけ位置が全く異なっていたのです。そのために、
マウントのためのネジ穴が位置が合わないものが多々あり、そのままで
は私のカルタスに載りそうにありません。
こうなったらマウントを自作するか??とも思いましたが、流石にそこ
までやるパワーはなく、残念ながらG15A腰下は諦めてしまいました。
ではG15Aクランクシャフトを持ってきてG13Bエンジンに組む!
ということも思いつきましたが、G15AとG13Bでは残念ながらク
ランクシャフトジャーナル径が異なり、取り付けできません。
く、悔しい・・・。
で、色々考えたあげく、ボアアップへと心変わりしていきました・・・。
(3)ボアアップでの1500cc化検討
ストロークアップ構想が失敗に終わり、ちょっとガッカリしながらボア
アップ構想を練り始めました。
元々私は排気量アップを「安くすませる」考えでしたので、G15Aの
腰下がポン付けできればいいなぁ〜と安易に考えていました。作戦がボ
アアップとなると、ボーリング屋さんにお願いしたり、新しいピストン
を購入したり・・・と、ちょっと費用がかかりそうです。
まぁそれでもできるのかどうか検討してみようと思い、色々資料を調べ
てみました。
まず1500ccにするには、ボアはいくつがいいか?を計算しました。
すると、
ボア78mmでは、1443cc
ボア79mmでは、1480cc
ボア80mmでは、1518cc
となります。
カルタスのボアピッチ(シリンダー中心から隣のシリンダー中心までの
距離)は84mmですので、ボアを広げすぎるとシリンダー壁面が薄く
なって危険です。
今回はスリーブの削り幅のことも考えて78mmならイケそう、となり
ました。早速ボアが78mmのピストンを探し始めました。
資料を色々と調べてみると、ボア78mmのエンジンは色々と見つかり
ました。
マツダのB5、B6、KFエンジン、ニッサンのRB20、VG20E、
CA16エンジン、トヨタの1VZ−FEエンジン等など、意外に沢山
あるのでビックリしました。
さて、この中で本当に使えるピストンはどれか?それには次の要素が関
係してきます。
まずコンロッドはG13Bの物を使いますので、ピストンピンの直径が
G13Bと同じ19mmでなくてはなりません。更にピストンピン中心
からピストン上面までの高さ(ピストンコンプレッションハイト)が、
G13Bと同じでないといけません。この値が同じでないと、上死点の
ときにシリンダー面とピストン上面がツライチにならず、圧縮比が計算
通りの値になりません。ちなみにツインカムG13Bは約29mmです。
ピストンピン径とコンプレッションハイトが同じピストンを探してみた
ところ、次の二つが使えそうなことが分かりました。
ミツビシ 6A12エンジン ボア78.4mm ハイト29.8mm
マツダ KFエンジン ボア78.0mm ハイト28.7mm
ピストンピン径は両者19mmです。
シリンダーをボアアップして、このどちらかのピストンを入れれば、夢
の?G15Aエンジンができる!! というところまで検討は進みまし
た。
(4)最後に残された不安材料
最後に残された不安材料としては、以下があげられます。
1.1500ccになっても燃料噴射が追いつくか?
2.低回転は心配ないが、高回転まで回るか?
です。
まず、燃料噴射ですがこれは自分の手ではどうしようもありません。コ
ンピューターをいじることはできないので、センサー系をいじってごま
かしながら運転するしかないかな?って感じでしょうか。
まぁアイドリングや低回転では問題なく回るんでしょうけどね。
次に、高回転まで回るか?ですが、これは何とも言えません。新しく採
用したピストンとシリンダーの馴染み(クリアランスや首振り問題?)
が上手くいけば高回転までカンカン回るでしょう。しかし上手くいかな
かった場合は5000回転で頭打ち〜なんてことも考えられます。
残念ながら私はエンジン設計のプロではないので、やってみなければ分
からない、というのが正直なところです。
(5)幻のG15Bエンジン
ここまで検討しておきながら、実際には作っていません。
(いとも簡単に上質?なG13Bが手に入り、いじるのがもったいなかっ
たので)
ただ、今考えると、実際に作って、G15Bを回してみたかったなぁ、
なんて思います。きっとトルクは増しているだろうし、もし高回転まで
綺麗に回ったら、いったい何馬力出るんだろう・・・・なんて考え出す
と、今でもワクワクしてきますね。
まぁ次にエンジンを降ろす機会があったら、やってみますか!?
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